徒然なるままに読書

書評から日々の考え事まで綴ります

映画『es』

あらすじ
スタンフォード大学心理学部ではある実験をするため、被験者となってくれる男性を公募した。集まった20名ほどの被験者は無作為に「看守役」と「囚人役」に分けられ、学内に設けられた模擬刑務所に収容された。初めはそれぞれの役を演じるだけの簡単なアルバイトと誰もが考えていた。しかし、実験が進むうち、「看守役」の攻撃的な振る舞いはどんどんエスカレートしていく。それに対して、「囚人役」は卑屈に服従するのみで、まったく抗議できなくなっていく。いつしか、模擬刑務所内は単なる実験の枠組みを越えて、もはや誰にも制御不能の状態に陥っていく……。

 

  人は容易に役割に徹してしまうということが如実に表れていた映画でした。看守はより暴力的に、囚人はより卑屈・服従していく様子には恐怖すら覚えます。役割に徹してしまうということで連想したのは『イェルサレムのアイヒマン』においてアイヒマンはユダヤ人の友人がいるのにもかかわらずただ命令が下っているというだけでなにもその命令の是非を考えずに虐殺を続けたということです。ウェーバーは官僚制の非人間性を指摘しマニュアル人間の増加を危惧しましたが、ある意味で通じるものがあるのではないでしょうか。

 この実験は実際に行ったようです。

 

<iframe src="http://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=000000&IS2=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=microx-22&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=B00018GYBA" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>