徒然なるままに読書

書評から日々の考え事まで綴ります

2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

好きって絶望だよね… 書評『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』

あらすじ 著:桜庭 一樹 その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望し…

フランス革命は中央集権をもたらしたのか 書評『旧体制と大革命』

あらすじ 著:アレクシス・ド・トクヴィル フランス革命後の社会は、旧体制(アンシャン・レジーム)の社会から截然と区別される―通説と化してしまったこの命題を否定するところから、トクヴィルは出発する。中央集権のもとでの行政の専制化、画一的支配の浸透…

獄中で考えた政治の転換 書評『獄中記』

あらすじ 著:佐藤 優 微罪容疑によって逮捕、接見禁止のまま五一二日間勾留された異能の外交官は、拘置所のカフカ的不条理の中で、いかなる思索を紡いでいたのか。哲学的・神学的問いを通して難題に取り組んだ獄中ノート六二冊。文庫版書き下ろしの新稿では…

孤独で暮らす喜び 書評『孤独な散歩者の夢想』

あらすじ 著:ルソー 『告白』につづいて書かれた本書は,その自己探求の道をさらに進めたものである.晩年全くの孤独に閉されたルソーは,日々の散歩の途上に浮び上る想念を,つれづれの印象を,事件を,あるいは生涯のさまざまの思い出を記し,人間と自己…

思想の軌跡 書評『ミル自伝』

あらすじ 著:ジョン・スチュアート・ミル どの分野でも,それぞれ一人の人間が一生かかるほどのことを見事に成し遂げた驚くべき彼の力の秘密はいったいなんであったのか。あらゆる自伝中の白眉と称される精神の発展の記録。

悩める主人公の姿は読む者の鏡である 書評『ハムレット』

あらすじ 著:シェイクスピア 弟に毒殺されたデンマーク王の亡霊が王子ハムレットに真相を告げ復讐を迫る.苦悩しながらも復讐を遂げ,自らも毒刃に倒れるハムレット-古くから伝わる復讐譚が,精妙な劇的構造のもとに近代的な心理悲劇に生れ変わった.世界…