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徒然なるままに読書

書評から日々の考え事まで綴ります

闇に閉ざされた街 映画『ダークシティ』

映画
あらすじ      監督:アレックス・プロヤス
暗闇の中、目覚める一人の男。自分が誰なのか思い出せないまま、その男は「早く逃げろ」というの電話に追い立てられるように漆黒の街をさまよい続ける。次々と出会う人物は謎めき、妻と名乗る美しい女の記憶すらない。いったいこの街で何がおきているのか? そして黒づくめの奇怪な集団はどんな目的で男に迫るのか。やがて男の目の前で街が奇怪に変形を開始した。失われた記憶を取り戻した時、謎はすべて解けるのだろうか?

感想

  はじめに闇があったという言葉から映画が始まり,異邦人(ストレンジャー)が地球に降り立ち,なんらかの活動をしていること,その活動に協力する博士が自分は人類を裏切ったと述懐するところから物語は始まる。視聴者に宇宙人が関係すること,良からぬ活動をしていることが明かされて不安が過る。

 宇宙人の目的が次第に明らかになっていく。この街が作られた目的は記憶を入れ替えた人間を観察すること,観察することで個性を手に入れることだった。宇宙人は個体となっているものの個性がなく,記憶が個性を形作ると仮定し,実験を通じて個性を獲得することを目指す。個でありながらも全体としては一つとは『ソラリス』を彷彿とさせる。あるは『ハーモニー』の結末か。

 今までの記憶が消去され誰の記憶かも曖昧な記憶で生活を送り,主人公の場合は殺人鬼の記憶を植え付けられ冒頭のシーンとなる。きちんと記憶はあるのに,その記憶は自分のだと確証が持てない。自分の確かな記憶だと考えていてもその証明をすることはできない状態は世界五分前仮説を連想させる。街では絶えず記憶と役割が入れ替わり観察されているが,記憶が変わったことに気付かないまま生活を送っている。

 結末は記憶が変わった妻と再会して終了する。