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徒然なるままに読書

書評から日々の考え事まで綴ります

2050年日本・トルコvsアメリカの戦争へ 書評『100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図』

書評
あらすじ    著:ジョージ・フリードマン
 「影のCIA」と呼ばれる情報機関ストラトフォーの創立者でCEOをつとめる政治アナリスト・フリードマンが予想する衝撃のこれからの世界は…。地政学の手法を駆使してフリードマンが見通す未来は、一見荒唐無稽に感じられても合理的で、的確な洞察力を感じさせる。示唆に富む未来覇権地図がここに描かれている。

どんな本か?

 2009年というアメリカが経済危機に瀕してながらも21世紀はアメリカの世紀であると大胆に主張し、地政学的観点から大方の予想を裏切る結果を提示する。キーワードは常識を疑え。

感想

 地政学に人口動態を絡めた観点から世界の動向を予測する。人口爆発が終焉し今まで移民の流入阻止を政策としていた先進国は人口減少と労働力の減少からついに移民の誘致を競うことになる。21世紀の中軸となるアメリカの基本戦略は海洋を抑えつつ他の世界大国を成長させないことである。

 

 現在の紙面を賑わす中国やロシアも激変から逃れられない。ロシアは天然ガスを基軸としたエネルギー政策と領土拡大を狙うが2020年までに新エネルギーによる天然ガスの需要減少、アメリカとの第二の冷戦により自壊する。ソ連と同じ末路を辿る。中国は同時期に沿岸部と内陸部との格差が極限に達し内部分裂の危機に見舞われ、19世紀のように外国資本や列強の餌となり急速に力を失う。この混乱に乗じ日本が旧満州国とロシア東部に独自の地域を作ろうとする。その理由として資源を確保するためであり、輸出入を海路の有無にかかっているなかで安定を求めるからである。日本が海洋国で一帯を太平洋で囲まれていること、依然として主要な経済大国であること、洗練された海軍をもつことからアメリカの戦略と相容れなくなる。トルコがアメリカの援助を受けイスラム国の大国とし台頭する。そしてトルコもペルシャ湾などシーレーンにおいてアメリカの利害と反目する。

 

 2050年には日本・トルコがアメリカに挑戦するも奇襲によって与えた損害を工業力でカバーしさらに技術革新によりその後の経済繁栄の足掛かりにする。この戦争ではパワードスーツや宇宙衛星、超高速無人爆撃機などSFの領域に片足を突っ込むことになる。最たるものは太陽光を変換し電波に乗せることで電力を供給できるようにすることだ。アメリカの同盟国であるポーランドは一番の損害を被る。

 

 それ以後アメリカの旧メキシコ領にはメキシコ人が同国のアイデンティティを維持したまま流入しアメリカ社会においてメキシコ社会を生み出し分離独立を求めるようになり遂にメキシコと覇権を争うようになる。

 

 100年後など誰にもわからないが過去の経験や現在の人口動態をもとに大まかな世界の見取り図を描き出す。そこに映されるのは覇権国家としてアメリカと対抗しようとする国々だ。過去から未来における一貫したアメリカの行動原理は全海洋を掌握すること、地域の大国をその地域に釘付けにすることである。この視点を通すことで一見ふらついているアメリカの外交方針も一定の指針があることがわかる。

 

 

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