読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

徒然なるままに読書

書評から日々の考え事まで綴ります

書評『タテ社会の人間関係』

あらすじ      著:中根 千枝
1960年代に発表させて以来半世紀近く、時代の変化にかかわらず、日本の基本構造はいまも変わりません。
先輩と後輩、上司と部下、会社やサークルなど、あらゆる組織でのウチとソトの感覚。
これが、あるときは悪さをすることもあれば、ときには日本的な安全装置としても機能
します。だから日本的な「タテ社会」の特徴を知るということは、いまでも日本を知るための
基本。それが本書が読み継がれている理由なのです。 

 

  本書は社会人類学でいうソーシャルストラクチャーを解明することを目的とする。ソーシャルストラクチャーという語は経済学などに言う社会構造よりも一段と抽象化された概念である。社会構造が制度や仕組みについてを表しソーシャルストラクチャーは社会の根底になる一般原理を扱う。

 社会集団は資格と場で大まかに区別される。資格とは属性を表し、例えば男女、年齢といった先天的なものから、学歴、職種といった後天的なものまで様々である。対して場とは、資格を問わず一定の枠組みに収まるものである。例えば会社や所属機関

がある。日本は、A会社の~ですと自己紹介するように場を重視する。対照的にインドでは資格の最たるものであるカースト制があるように資格が幅を利かせる。

 加えてタテとヨコの区別がある。タテとは一般に先輩後輩といった上下関係を連想させるが、正しくはある枠内における同列に置かれない二者を結びつける関係である。ヨコとは、個々人に共通する資格によって結び付けられた関係でありその関係は対等である。日本はタテが重視される社会であるからタテ社会となる。

 タテ社会は対等でない二者の関係を基準とするために必然的に序列が生まれる。そして上位者に対し下位者は反論や自分の意見を言うことが憚られる。会社について考えてみると、平社員は課長に課長は部長に円満に物申すことは困難だ。また対等であるはずの同期であっても入社試験の優秀さなどで優劣が決められヨコのネットワークが機能しないことが多い。タテ社会は長を頂点とする三角形型、ヨコ社会はすべてが対等な円型となる。組織に入るためにタテ社会は推薦や紹介という形で推薦者紹介者のうちに入る。ヨコ社会は全員の同意を要するが大抵は組織内の規則に反しないこと条件になる。タテ社会は紹介者の下位につき当然序列に参加せざるを負えないのに対しヨコ社会では参加した後は対等な関係を結ぶ。

 タテ社会のリーダー像を見てみる。たとえリーダーであっても組織の構成員をすべて把握することは困難であるから指揮した内容を幹部がその部下に伝えることになり組織運営にリーダーではなく幹部が鍵を握ることになる。また求められる資質はずば抜けた能力よりも人をまとめることができる人間的魅力が要諦となる。リーダーには能力が求められないのでどんな人物であろうと組織は安定する。

 タテ社会はなにも組織だけではなく日常でも見て取れる。会話でもまずはお互いの関係をはっきりさせてからでないと活発な会話にはならない。初対面では互いに手探りな状態が続くが関係が決まり親しい関係ではもはや無礼講の状態となる。タテ社会の序列は本来対等でなければならない学問の場でも発揮され権威や肩書が大きな権勢をふるう。

 本書は1967年に発行されたその内容は今でも妥当する。ソーシャルストラクチャーはそう簡単には変化しない。

<iframe src="http://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=000000&IS2=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=microx-22&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=4061155059" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>