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徒然なるままに読書

書評から日々の考え事まで綴ります

書評『原発敗戦 危機のリーダーシップとは』

あらすじ       著:船橋 洋一
全体の最適解を見出せないリーダー、不明瞭な指揮系統、タコツボ化した組織、「最悪のシナリオ」の不在…。福島原発事故と「あの戦争」の失敗の原因は驚くほど酷似している。日本を代表するジャーナリストが二つの戦史を徹底検証し、危機下にあるべきガバナンスとリーダーシップを探る。 

 

  福島原発事故第二次世界大戦とで似通っている点がある。それを明らかにしたのが本書である。それは最悪の事態を想定せず、ベストケースを基に計画を立て実行することだ。前の対戦ではドイツがヨーロッパを制しアメリカが短期で和解するというものであり、原発事故では全電力停止、メルトダウンといったことを想定せず安全神話を謳ったことである。これは第二の敗戦だ。しかし70年を経てもなおこのような事態が起こることを日本文化固有の現象と考えてはならない。文化と捉えることで責任が個人にまで及ばず、仕方ないものと考えられがちだからだ。要諦は過去の失敗から教訓を得、それを後世にまで継承することだ。よって事故によってなにが露わになったのか失敗を見ていこう。

 まず平時から。最悪の事態が起きることを忌避するあまりに思考がそのようなこと起きるはずはないと断定しそれに基づいて決定を下すこと、人事システムが数年で移動となり責任の所在が明らかとならないこと、それによって決定の先送りが起きることが挙げられる。

 緊急事態では、指揮命令系統が不明確であること、最高指揮官が国民に対して訴えかける言葉を掛けなかったこと、政治が混迷したことが挙げられる。

 よって危機のリーダーシップとは、次の3つになる。責任・権限・指揮系統を一元化明確にすること、情報を密にやり取りすること、大きな政治を実現することである。3つ目について、大きな政治とは国家国民が一丸となって国難に当たることである。国民が政権を支え与野党が協調して事に当たる。しかし現実では事故を巡って政争の道具となってしまった。

 海外に目を向けると、危機管理に対してアメリカとは雲泥の差がある。例えば原子力専門の危機対応チームがある、最悪のシナリオを想定しているなど。有名な事例では原子力発電所がテロの標的となったときに備えて「B5b」があり事故対応まで詳細に検討されている。

 危機管理において最重要課題は、最悪を想定することである。日本はそれが欠けていた。要諦は、危機に対する予防、準備、事態が起きたときの対応を予め用意することであり、最後が欠落していたため事故が拡大してしまった。

 

 

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