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徒然なるままに読書

書評から日々の考え事まで綴ります

書評『働くアリに幸せを 存続と滅びの組織論』

あらすじ   著:長谷川 英裕
なぜ、この世は生きづらいのか――?自分の意のままにならない他者とともに生きなければならない「社会」を持っている私たち人間。もし社会に参加しなくても生きていけるなら、煩わしさがなく、コストを払わなくても済む分だけ、一人でやる方がよいとすら思ってしまう。滅私奉公などご免である。では、なんのために社会なんかあるのだろうか?生物の社会を見ていくことは、人の社会の本質を探るうえで大きなヒントを与えてくれる。「浮き世の憂さ」とは、まさに「組織の利益」と「個の利益」が真っ向から対立すること。そんなとき、アリをはじめとする生物たちがどのように対処しているのか。さらには、「アリとヒトの決定的な違いとは何か」「そもそも『人』とは何か」「『ヒト』を『人』たらしめているのは何か」という哲学的な問題までを、進化生物学者で、ベストセラー『働かないアリに意義がある』の著者が探っていきます。

 

  協力することを人間は当然のことと考えているけれども自然界にとっては個で生きていく種のほうが圧倒的多数である。協力が当然となりそうな親子間であっても生まれたばかりの稚魚を餌と認識してしまう魚もいる。協力とは、あるコストを払い集団の利益になる行動をする、力を合わせることでありそれが上手く機能しているアリの社会と人間社会を比較して、現代人が抱える煩悶に答えを示そうとする。

 アリの社会は女王とよく働く下僕だけで構成されるわけではない。ある一瞬では働いていないアリが7割になることは珍しくないし、一定の割合で働かないアリもいる。もちろんたくさん働くエリートもいる。アリのすべてが勤労というわけではない。現代の効率優先の社会では奇異に映るかも知れないが、そんなアリにも立派な使命がある。それは緊急事態に対応することだ。たとえば、巣の近くに虫の死骸が落ちてきたとき。普段よく働くアリはそのような事態に右往左往し、エリートは疲れて動けない。そんなときに働かないアリがバックアップを務めるのだ。このことは人間社会でもあてはまる。在庫を最小にし効率を優先したトヨタカンバン方式地震により部品の調達が滞ったばかりに他のラインまで影響を被った。ふだんから有事に備えておけば避けられたことでもある。

 他にも具体例が挙げられていたが、印象に残ったのは長期の利益と短期の利益が両立しえないことだ。無限の資源でもない限りいつかは資源を食い尽くしてしまい後は破滅への道をたどるだけだ。ブラック企業。人を使い捨てるが短期的には利益を上げているかもしれないが、長期的にはうつ病にまで追い詰めれば労働力の減少、社会保障費の増加を招き社会に対する裏切り者になる。

 

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