徒然なるままに読書

書評から日々の考え事まで綴ります

書評『不思議の国のアリス』

あらすじ   著:ルイス・キャロル
ある昼下がり、アリスが土手で遊んでいるとチョッキを着た白ウサギが時計を取り出しながら、急ぎ足に通り過ぎ、生き垣の下の穴にぴょんと飛び込みました。アリスも続いて飛び込むと、そこは…。チェシャーネコ、三月ウサギ、帽子屋、ハートの女王など、一癖もふたくせもあるキャラクターたちが繰り広げる夢と幻想の国。ユーモア溢れる世界児童文学の傑作を、原文の言葉あそびの楽しさそのままに翻訳した、画期的新訳決定版。

 

  ディズニーの映画しか観たことがなかったけれどもその原作にあたります。様々な訳で出版されていますが今回は河合祥一郎さんが翻訳を手がけたものです。筆者の優秀な数学・論理学者という経歴からは予想もつかない摩訶不思議な世界へ迷い込んだアリス。穴へ落ちている最中に、昨日までの自分と今日の自分がまったく同じであるかといった哲学めいた考えを巡らし、また物を食べるごとに体が大きくなったり小さくなったりすることに戸惑いを覚えながらも次第に慣れていきます。極めつけは全く国を統治できていない女王。いつも死刑と叫んでいて恐怖政治です。そのような世界から抜け出しハッピーエンド。

 今読んでも十分おもしろかったですが、アリスと年齢の近い小学生のときのほうがより物語にのめり込めただろうと思います。言葉あそびがふんだんにつかわれていたので原書をあたればもっとこの独自の世界観に浸ることができるでしょう。