徒然なるままに読書

書評から日々の考え事まで綴ります

4つの国へ 書評『ガリバー旅行記』

あらすじ 著:ジョナサン・スウィフト 子供のころ誰しも一度はあの大人国・小人国の物語に胸を躍らせたにちがいない。だが、おとなの目で原作を読むとき、そこにはおのずと別の世界が現出する。他をえぐり自らをえぐるスウィフト(1667‐1745)の筆鋒はほとんど…

資本主義は本当に悪か!? 書評『隷属への道』

あらすじ 著:F・A・ハイエク 本書は第一次大戦、第二次大戦、その間の大恐慌を契機にファシズム、社会主義がゆっくりと確実に浸透していくさまを、克明に分析した古典的名著です。「ケインズとハイエク」、「大きな政府と小さな政府」といった昨今よく聞く…

旧世界帝国に近代国家を揚棄する鍵をさぐる 書評『帝国の構造: 中心・周辺・亜周辺』

あらすじ 著:柄谷 行人 筆者が論じたのは帝国、帝国の周辺と亜周辺という問題だった。資本=ネーション=国家の世界のもと、私たちが構想しえる未来とはいかなるものであり、世界共和国への可能性とはどこにあるのか。

中国の弱みに石を打て 書評『中国の大問題』

あらすじ 著:丹羽 宇一郎 世界一の貿易額、世界第2位のGDPをかさに着て、中国が驕りを見せはじめた。その態度は、もはや日本なしでもやっていけると言わんばかりである。経済的に勢いづいているのは確かだが、その内実は数々の難問に直面している。拡大する…

なぜ高学歴の人物が深い知性を感じさせないのか? 書評『知性を磨く 「スーパージェネラリスト」の時代』

あらすじ 著:田坂 広志 なぜ、高学歴の人物が、深い知性を感じさせないのか?目の前の現実を変革する「知の力」=「知性」を磨くための田坂流知性論。

書評『老子 (講談社学術文庫)』

あらすじ 著:金谷 治 『老子』は、『論語』とならぶ中国の代表的な古典である。その思想は、人間はその背後に広がる自然世界の万物のなかの一つであるという自然思想の立場をつらぬくことにある。したがって老子は、人間の知識と欲望が作りあげた文化や文明…

映画『思い出のマーニー』

あらすじ 監督:米林 宏昌 心を閉ざした少女杏奈は、ぜんそくの療養を目的に親戚が生活している海沿いの村にやって来た。そんなある日、彼女の前に誰もいない屋敷の青い窓に閉じ込められた、きれいなブロンドの少女マーニーが姿を見せる。その出会い以来、杏…

書評『方法序説』

あらすじ 著:デカルト すべての人が真理を見いだすための方法を求めて、思索を重ねたデカルト(1596‐1650)。「われ思う、ゆえにわれあり」は、その彼がいっさいの外的権威を否定して到達した、思想の独立宣言である。近代精神の確立を告げ、今日の学問の基本…

書評『論語 増補版 (講談社学術文庫)』

あらすじ 著:加持 伸行 人間とは何か。溟濛の時代にあって、人はいかに生くべきか。現代と交響する至高の古典に、われわれは親しみ、学んできた。だが、さらに多くの宝石のように美しいことばが、人知れず眠っている―。儒教学の第一人者が『論語』の本質を…

書評『タテ社会の人間関係』

あらすじ 著:中根 千枝 1960年代に発表させて以来半世紀近く、時代の変化にかかわらず、日本の基本構造はいまも変わりません。先輩と後輩、上司と部下、会社やサークルなど、あらゆる組織でのウチとソトの感覚。これが、あるときは悪さをすることもあれば、…

書評『生きるのも死ぬのもイヤなきみへ』

あらすじ 著:中島 義道 自意識を持て余す東大生、自分の容貌を嫌悪するOL、働くことが嫌いなフリーター、5年間引きこもり中の男…。「どうせ死んでしまうのだから、何をしても虚しい」彼らの心の叫びは“正しい”。しかしその真実は、善良で鈍感な日本社会から…

書評『悲しき熱帯〈2〉』

著:レヴィ=ストロース 熱帯のフィールドワークに主に描かれている。文明化されていない野蛮と見て非合理的と判断しがちであるが一度目線を変えてみると非合理的だと思った慣習にも合理的な面がある。文明・非文明に関わらずある程度の合理性が人間社会の中…

書評『政治の起源 下 人類以前からフランス革命まで』

あらすじ 著:フランシス・フクヤマ 自由民主主義が機能し、政治に秩序が生まれるためには、「国家」「法の支配」「政府の説明責任」この3制度のバランスが鍵を握る。

書評『転換期の日本へ―「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か』

あらすじ 著:ジョン・W・ダワー ガバン・マコーマック 領土紛争、沖縄と基地、憲法改正、集団的自衛権、核・原発、歴史認識問題など、未解決の課題が山積する中、東アジア情勢は一層その緊迫度を増している。日本の選択はどこにあるのか。これまでと同様に…

書評『想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行』

あらすじ 著:ベネディクト・アンダーソン 国民はイメージとして心の中に想像されたものである。/国民は限られたものとして、また主権的なものとして想像される。/そして、たとえ現実には不平等と搾取があるにせよ、国民は常に水平的な深い同志愛として心に…

書評『仮想通貨革命---ビットコインは始まりにすぎない』

あらすじ 著:野口 悠紀雄 ビットコインをはじめとする「仮想通貨」が、世界で注目を集めている。管理主体を持たない通貨、国家の枠組みを超えた通貨として従来の通貨を脅かしつつあり、その技術革新はより広範な分野に影響を及ぼすとみられている。金融資産…

映画『マイノリティリポート』

あらすじ 西暦2054年、ワシントンDC。政府は膨大な凶悪犯罪を防ぐ策として、ある画期的な方法を開発し、大きな成果をあげていた。それは、予知能力者を利用して凶悪犯罪が起こる前に犯人を逮捕してしまうというシステムであった。このシステムのお陰でワシン…

書評『論語と算盤』

あらすじ 著:渋沢 栄一 日本実業界の父が、生涯を通じて貫いた経営哲学とはなにか。「利潤と道徳を調和させる」という、経済人がなすべき道を示した『論語と算盤』は、すべての日本人が帰るべき原点である。明治期に資本主義の本質を見抜き、約四百七十社も…

書評『原発敗戦 危機のリーダーシップとは』

あらすじ 著:船橋 洋一 全体の最適解を見出せないリーダー、不明瞭な指揮系統、タコツボ化した組織、「最悪のシナリオ」の不在…。福島原発事故と「あの戦争」の失敗の原因は驚くほど酷似している。日本を代表するジャーナリストが二つの戦史を徹底検証し、…

書評『知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ』

あらすじ 著:苅谷 剛彦 常識にとらわれた単眼思考を行っていては、いつまでたっても「自分の頭で考える」ことはできない。自分自身の視点からものごとを多角的に捉えて考え抜く―それが知的複眼思考法だ。情報を正確に読みとる力。ものごとの筋道を追う力。…

書評『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』

あらすじ 著:赤羽 雄二 A4の紙に1件1ページで書く。ゆっくり時間をかけるのではなく、1ページを1分以内にさっと書く。毎日10ページ書き、フォルダに投げ込んで瞬時に整理する。それだけで、マッキンゼーのプログラムでも十分に教えていない、最も基本的な「…

『大衆の反逆』

あらすじ 著:オルテガ・イガセット 1930年刊行の大衆社会論の嚆矢。20世紀は、「何世紀にもわたる不断の発展の末に現われたものでありながら、一つの出発点、一つの夜明け、一つの発端、一つの揺籃期であるかのように見える時代」、過去の模範や規範から断…

書評『老子・荘子』

あらすじ 著:野村 茂夫 老子と荘子の考えは、たがいに融けあって「道家思想」という大きな思想を形づくっている。広大な大地を背景として生まれたこの思想は、「無為自然」にもとづいた生き方を理想とする。「大器晩成」「胡蝶の夢」など、人生を豊かにする…

書評『秋の牢獄』

あらすじ 著:恒川 光太郎 十一月七日水曜日。女子大生の藍は秋のその一日を何度も繰り返している。何をしても、どこに行っても、朝になれば全てがリセットされ、再び十一月七日が始まる。悪夢のような日々の中、藍は自分と同じ「リプレイヤー」の隆一に出会…

書評『権力と支配』

あらすじ 著:マックス・ウェーバー 希望はカリスマを生む。だがそれは日常化するのだ――。支配の正当性は、なぜ三つに分類し得るのか。ウェーバーの著作全体への入口とも言える本書は、支配のあり方を比較するために服従する側の動機から接近する。服従のあ…

書評『未来のイヴ』

あらすじ 著:ヴィリエド・リラダン 輝くばかりに美しく、ヴィナスのような肉体をもつ美貌のアリシヤ。しかし彼女の魂はあまりに卑俗で、恋人である青年貴族エワルドは苦悩し、絶望していた。自殺まで考える彼のために、科学者エディソンは人造人間ハダリー…

書評『乱読のセレンディピティ』

あらすじ :著 外山 滋比古 一般に、乱読は速読である。それを粗雑な読みのように考えるのは偏見である。ゆっくり読んだのではとり逃すものを、風のように速く読むものが、案外、得るところが大きいということもあろう。乱読の効用である。本の数が少なく、…

書評『ファウスト 第二部』

あらすじ 著:ゲーテ グレートヘンの悲劇からたち直ったファウストは次に美を追求することで生の意義を把握しようとして果たさず、最後に人類のため社会のための創造的活動によってはじめて自己の救済にあずかる…。

映画『シンドラーのリスト』

あらすじ ナチによるユダヤ虐殺をまのあたりにしたドイツ人実業家オスカー・シンドラーは、秘かにユダヤ人の救済を決心する。彼は労働力の確保という名目で、多くのユダヤ人を安全な収容所に移動させていくのだが……。

映画『羊たちの沈黙』

あらすじ 若い女性を殺害しその皮を剥ぐという猟奇事件が続発。捜査に行きづまったFBIは、元精神科医の殺人鬼ハンニバル・レクターに示唆を受けようとする。訓練生ながらその任に選ばれたクラリスは獄中のレクターに接触する。レクターはクラリスが、自分の…