徒然なるままに読書

書評から日々の考え事まで綴ります

ベンサムの思想とは? 書評『ベンサム―功利主義入門』

あらすじ 著:フィリップ・スコフィールド 現代のさまざまな分野に、実践・理論の両面で大きな影響を及ぼしているジェレミー・ベンサム(1748‐1832)。本書は、彼の厖大な草稿類を整理・校訂するベンサム・プロジェクトを牽引し、新著作集の編集主幹をつとめる…

意識とは何か 書評『屍者の帝国』

あらすじ 著:伊藤計劃×円城塔 屍者復活の技術が全欧に普及した十九世紀末、医学生ワトソンは大英帝国の諜報員となり、アフガニスタンに潜入。その奥地で彼を待ち受けていた屍者の国の王カラマーゾフより渾身の依頼を受け、「ヴィクターの手記」と最初の屍者…

闇に閉ざされた街 映画『ダークシティ』

あらすじ 監督:アレックス・プロヤス 暗闇の中、目覚める一人の男。自分が誰なのか思い出せないまま、その男は「早く逃げろ」というの電話に追い立てられるように漆黒の街をさまよい続ける。次々と出会う人物は謎めき、妻と名乗る美しい女の記憶すらない。…

凶悪犯が移送される飛行機でハイジャック! 書評『コン・エアー』

あらすじ 監督:サイモン・ウェスト 不運な事件に巻き込まれ、8年の刑期を終えて出所した元軍人のキャメロン。彼は一刻も早く愛する妻子の顔が見たいと、連邦保安局の空輸機に乗り込んだ。だが、その空輸機は凶悪犯サイラスが率いる囚人グループにハイジャッ…

マルクスはこう考えた 書評『マルクス自身の手による資本論入門』

あらすじ 著:ヨハン・モスト 生前、マルクス自身が改訂・加筆をおこなった唯一の『資本論』の入門・解説書。

<あり得べき社会>を構想する! 書評『自由か、さもなくば幸福か?: 二一世紀の〈あり得べき社会〉を問う』

あらすじ 著:大屋 雄裕 20世紀の苦闘と幻滅を経て、私たちの社会は、どこへ向かおうとしているのか?“あり得べき社会”を構想する。

外交のあるべき姿勢とは何か? 書評『アメリカ外交50年』

あらすじ 著:ジョージ・F・ケナン 1900年からの50年間にアメリカがとった外交上の態度を徹底検証した講演集に加え、ソ連「封じ込め政策」の理論的基礎を示し反響を呼んだ論文等を収録。アメリカの戦後世界政策を構想した著者ケナンが、アメリカ外交の伝統…

全体主義は過ぎ去ったか 書評『全体主義の時代精神』

あらすじ 著:藤田 省三 20世紀は全体主義を生み、かつ生み続けた時代である。それは三つの形態をとって現れた。最初は「戦争の在り方における全体主義」として、ついで「政治支配の在り方における全体主義」として、そしてそれは「生活様式における全体主義…

全体主義の変遷を辿る 書評『全体主義』

あらすじ 著:エンツォ・トラヴェルゾ ファシズム、ナチズム、スターリニズムを、一括りに“全体主義”と呼ぶことは、いったい何を隠蔽することになるのだろうか。二十世紀の論争史を繙きながら、玉虫色に姿を変える“全体主義”の概念と、その背景、そして知識…

ナショナリズムは近代の産物である 書評『民族とナショナリズム』

あらすじ 著:アーネスト・ゲルナー 「近代世界の形成と再形成とに果たした力は明白でありながら、それに取りつかれていない人間には依然として他人事で理解不可能なままにとどまっているナショナリズム」、その本質は何か、この難問に、英国哲学界の巨人ゲ…

ナショナリズムとはなにか 書評『ナショナリズム入門』

あらすじ 著:植村 和秀 人々はなぜナショナリズムにこだわるのか? 日本と中国、ドイツ、ユーゴスラヴィアなどのヨーロッパ世界、南北アメリカなど、世界の様々な地域の多様なナショナリズムの構造を分析し、21世紀世界の最大の問題であるナショナリズム…

次の10年をいかに過ごすか 書評『続・100年予測』

あらすじ 著:ジョージ・フリードマン 「影のCIA」の異名をもつ情報機関ストラトフォーを率いる著者は、 ベストセラー『100年予測』でクリミア危機を的中させ話題沸騰! 本書はその続篇となる。 金融危機以降、国家間のパワーバランスは劇的に変化したか? ア…

闘争は義務である 書評『権利のための闘争』

あらすじ 著:イェーリング 自己の権利が蹂躙されるならば、その権利の目的物が侵されるだけではなく己れの人格までも脅かされるのである。権利のために闘うことは自身のみならず国家・社会に対する義務であり、ひいては法の生成・発展に貢献するのだ。

古文化に関する深い洞察 書評『古寺巡礼』

あらすじ 大正七年の五月、二十代の和辻は唐招提寺・薬師寺・法隆寺・中宮寺など奈良付近の寺々に遊び、その印象を情熱をこめて書きとめた。鋭く繊細な直観、自由な想像力の飛翔、東西両文化にわたる該博な知識が一体となった美の世界がここにはある。

もし生涯に『ウェルテル』が自分のために書かれたと感じるような時期がないなら,その人は不幸だ 書評『若きウェルテルの悩み』

あらすじ 著:ゲーテ 親友のいいなずけロッテに対するウェルテルのひたむきな愛とその破局を描いたこの書簡体小説には、ゲーテ(1749‐1832)が味わった若き日の情感と陶酔、不安と絶望が類いまれな抒情の言葉をもって吐露されている。晩年、詩人は「もし生涯に…

好きって絶望だよね… 書評『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』

あらすじ 著:桜庭 一樹 その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望し…

フランス革命は中央集権をもたらしたのか 書評『旧体制と大革命』

あらすじ 著:アレクシス・ド・トクヴィル フランス革命後の社会は、旧体制(アンシャン・レジーム)の社会から截然と区別される―通説と化してしまったこの命題を否定するところから、トクヴィルは出発する。中央集権のもとでの行政の専制化、画一的支配の浸透…

獄中で考えた政治の転換 書評『獄中記』

あらすじ 著:佐藤 優 微罪容疑によって逮捕、接見禁止のまま五一二日間勾留された異能の外交官は、拘置所のカフカ的不条理の中で、いかなる思索を紡いでいたのか。哲学的・神学的問いを通して難題に取り組んだ獄中ノート六二冊。文庫版書き下ろしの新稿では…

孤独で暮らす喜び 書評『孤独な散歩者の夢想』

あらすじ 著:ルソー 『告白』につづいて書かれた本書は,その自己探求の道をさらに進めたものである.晩年全くの孤独に閉されたルソーは,日々の散歩の途上に浮び上る想念を,つれづれの印象を,事件を,あるいは生涯のさまざまの思い出を記し,人間と自己…

思想の軌跡 書評『ミル自伝』

あらすじ 著:ジョン・スチュアート・ミル どの分野でも,それぞれ一人の人間が一生かかるほどのことを見事に成し遂げた驚くべき彼の力の秘密はいったいなんであったのか。あらゆる自伝中の白眉と称される精神の発展の記録。

悩める主人公の姿は読む者の鏡である 書評『ハムレット』

あらすじ 著:シェイクスピア 弟に毒殺されたデンマーク王の亡霊が王子ハムレットに真相を告げ復讐を迫る.苦悩しながらも復讐を遂げ,自らも毒刃に倒れるハムレット-古くから伝わる復讐譚が,精妙な劇的構造のもとに近代的な心理悲劇に生れ変わった.世界…

アフリカの奥地で目にしたものは 書評『闇の奥』

あらすじ 著:コンラッド アフリカ奥地の貿易会社主張所にやってきた船乗りマーロウが耳にしたのは、最奥部の出張所を預かる腕利きの象牙採取人クルツの噂だった。折しも音信を絶ったクルツの救出に向かうマーロウ一行の前に、死と闇の恐怖を秘めた原始の大…

映画『グッド・ウィル・ハンティング~旅立ち~』

あらすじ ボストンに住む青年ウィルは、幼い頃から天才ゆえに周囲から孤立していた。だが、彼の才能に気付いた数学教授のランボーは、ウィルに精神分析医のショーンを紹介する。ウィルはショーンにしだいに心を開いてゆくが、彼の才能に気付いた政府機関や大…

2050年日本・トルコvsアメリカの戦争へ 書評『100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図』

あらすじ 著:ジョージ・フリードマン 「影のCIA」と呼ばれる情報機関ストラトフォーの創立者でCEOをつとめる政治アナリスト・フリードマンが予想する衝撃のこれからの世界は…。地政学の手法を駆使してフリードマンが見通す未来は、一見荒唐無稽に感じられて…

自由主義における不朽の古典 書評『自由論』

あらすじ 著:J.S.ミル 言論の自由をはじめ、社会生活における個人の自由について論じ、個人の自由の不可侵性を明らかにする。政治干渉の増大に対する警告など今日なお示唆を与えられるところ多く、本書をおいて自由主義を語ることはできないといわれる不朽…

人間は遺伝子という名の利己的な分子を保存するべく盲目的にプログラムされた機械である 書評『利己的な遺伝子』

あらすじ 著:リチャード・ドーキンス 本書は、動物や人間社会でみられる親子の対立と保護、雌雄の争い、攻撃やなわばり行動などが、なぜ進化したかを説き明かす。この謎解きに当り、著者は、視点を個体から遺伝子に移し、自らのコピーを増やそうとする遺伝…

4つの国へ 書評『ガリバー旅行記』

あらすじ 著:ジョナサン・スウィフト 子供のころ誰しも一度はあの大人国・小人国の物語に胸を躍らせたにちがいない。だが、おとなの目で原作を読むとき、そこにはおのずと別の世界が現出する。他をえぐり自らをえぐるスウィフト(1667‐1745)の筆鋒はほとんど…

資本主義は本当に悪か!? 書評『隷属への道』

あらすじ 著:F・A・ハイエク 本書は第一次大戦、第二次大戦、その間の大恐慌を契機にファシズム、社会主義がゆっくりと確実に浸透していくさまを、克明に分析した古典的名著です。「ケインズとハイエク」、「大きな政府と小さな政府」といった昨今よく聞く…

旧世界帝国に近代国家を揚棄する鍵をさぐる 書評『帝国の構造: 中心・周辺・亜周辺』

あらすじ 著:柄谷 行人 筆者が論じたのは帝国、帝国の周辺と亜周辺という問題だった。資本=ネーション=国家の世界のもと、私たちが構想しえる未来とはいかなるものであり、世界共和国への可能性とはどこにあるのか。

中国の弱みに石を打て 書評『中国の大問題』

あらすじ 著:丹羽 宇一郎 世界一の貿易額、世界第2位のGDPをかさに着て、中国が驕りを見せはじめた。その態度は、もはや日本なしでもやっていけると言わんばかりである。経済的に勢いづいているのは確かだが、その内実は数々の難問に直面している。拡大する…