徒然なるままに読書

書評から日々の考え事まで綴ります

過去からの断罪/映画「叫」

 人には後ろ暗い過去がある。しかし、その過去を誤魔化すのではなくあったこと自体を忘却していたとしたら…
 先日*1に引き続き、黒沢清監督の作品「叫」を観た。ジャケットを見る限りホラーだが、レンタル区分ではドラマ/サスペンスなのでそこまで怖くはない。

 

あらすじ

 「CURE キュア」「ドッペルゲンガー」の黒沢清監督が、再び役所広司を主演に迎えて贈るミステリー・ホラー。不可解な連続殺人事件の謎を追う一人の刑事が、やがて忘れ去られた過去の記憶の迷宮に呑み込まれ混乱と恐怖に苛まれていく姿を描く。
 連続殺人事件の捜査に当たる刑事・吉岡。犯人を追っているはずの吉岡は、しかしそこに自分の影を見て揺れ始める。被害者の周辺に残る自分の痕跡、さらには自らの記憶すらも自身の潔白を確信させてくれない。苦悩を深める吉岡は、第一の殺人現場に舞い戻り、そこで不気味な女の叫び声を耳にするのだが…。

 

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独裁への道/映画「THE WAVE ウェイヴ」

 現代で再度ファシズム全体主義に飲み込まれることがあるだろうか。そんな疑問に答えるのが映画「THE WAVE ウェイヴ」だ。舞台はドイツ。独裁政治を学ぶ演習にて起こった。以下、独裁と全体主義とは特に区別していない。

www.at-e2550.sakura.ne.jp

 あらすじ

自由な雰囲気で生徒に慕われるベンガー(ユルゲン・フォーゲル)は、校長の要請で独裁制の授業を担当することに。あまりやる気のない生徒に、「発言するときは挙手して立つ」など独裁制の実験を取り入れようと提案。しかし、ベンガーの予想を超え、独裁制に魅了された生徒たちは、学校外でも過激な活動をするようになり……。

 

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機能不全に陥る家庭/映画「クリーピー 偽りの隣人」

 前回は話題の中心がサイコパスになり、本来の目的である映画の感想まで書くことができなかったので今回こそ感想を書く。 

watashinohondana.hatenablog.co (前回の記事)

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映画に見るサイコパス/映画『クリーピー 偽りの隣人』

 6月に公開された黒沢清監督の最新作「クリーピー 偽りの隣人」をようやく観ることができた。以下感想を書いていく。書いているうちにサイコパスの話題に移ったので、そちらが中心に。映画は隣人がサイコパスであることから起きる恐怖の事件*1だった。サイコパスから逃れる手はあるのだろうか。

creepy.asmik-ace.co.jp

あらすじ

元刑事の犯罪心理学者・高倉は、刑事時代の同僚である野上から、6年前に起きた一家失踪事件の分析を依頼され、唯一の生き残りである長女の記憶を探るが真相にたどり着けずにいた。そんな折、新居に引っ越した高倉と妻の康子は、隣人の西野一家にどこか違和感を抱いていた。ある日、高倉夫妻の家に西野の娘・澪が駆け込んできて、実は西野が父親ではなく全くの他人であるという驚くべき事実を打ち明ける。

 

*1:家庭が乗っ取られる、家族同士の殺し合いなど尼崎市の事件を連想させる

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賃金はいかに決定されるか/書評「資本主義の極意ー明治維新から世界恐慌へ」

賃金の上がらない現状

 現政権が謳ったことの1つに賃金アップがある。*1賃上げの効果としては、収入が上がるため消費が活発になること、ひいては長引くデフレから脱却することを見込んでいる。円安株高を背景に企業は好成績を挙げ、一時は賃上げの機運が高まったかのように思えたが、実際には一部の企業に限られ、英国のEU離脱のショックのせいで、賃上げへの期待も萎んでしまった。

 この現状をどう解釈するのだろうか。

*1:最低賃金を1000円にすることを目指す、企業に賃上げの要請をするなど

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